- Monday, September 01, 2008 - 03:22 AM
キーやんの乳歯が、抜けてきた。
少しずつ永久歯に生え替わっている最中で、歯磨きをしてやると、ブラシが血まみれになる時もしばしば。
だいたい、奥歯から抜け替わって行くようで、奥歯が半分くらい抜けたところで、犬歯が抜け替わる。犬歯は下が先に抜け替わるが、これは人間と同じ順番じゃなかったかな(わたしは下の歯が先に抜け替わった)。
下の犬歯がいつの間にか、太くて真っ白な永久歯になり、上の犬歯が二枚刃になって来たキーやんだったが、食欲が衰えるでもなく、元気がなくなるでもない。
かれは毎日、マルちゃんといたずらにいそしんでいた。
どこかに跳び上がっては物を落とし、怒られては慌ててその場所から降りようとして周囲の物を壊す。
そんなわけで、我が家は常にキッチンのドアが閉まっている家になり、ランプは全て、倒れても被害が出ない素材に変わった。
物を壊されるのがいやなのではなく、破損した物で怪我をされるのが恐いのだ。
もしも、あんな小さな足で大きなガラスの破片を踏んでしまったりしたら、傷口が深すぎて失血死しかねない。
キッチンからパッズを常に閉め出すことにしたある夜、晩ごはんの後片付けをしていたわたしは、キッチンの椅子に座って食後のマッタリ感を楽しむ旦那と、作業をしながら雑談していた。
「中に人間が居る時には、キッチンに入ってもいい」というルールなので、一緒にキッチンに居たパッズも、椅子に載ってふざけあっていたが、そのうちマルちゃんは飽きてしまい、床に寝転がってリラックスし始めた。
マルちゃんが遊びをやめてしまったので、ひとりになったキーは椅子に乗ったまま、周囲の物を手先で弄って、ひとり遊びを始めた。
キーが乗っていた椅子の上には、ロールスクリーンを上げ下げするヒモがあり、そのヒモの先には、取っ手よろしく、タッセルがついているのだが、キーはこれを弄るのが大好きなのだ。
口でくわえたり、前足でちゃいちゃいしたり、タッセルと遊ぶ方法は色々あるようだ。
わたしはあらかたの物を食洗機に納め、シンクを洗っていた。
ふと、キーの方を振り返ると、何と、キーがタッセルを咥えたはいいが、それがどこかに引っかかってしまい、外れなくなってもがいていた。
わたしは旦那に声をかけ、取ってやってくれと頼んだが、タッセルが口から外れないことでパニックしたキーは、爪を出した手足を思い切り、しかも闇雲に振り回している。
首でも絞まったのかと思ったが、よく観察したところ、どうやら、歯にタッセルのヒモが引っかかってしまったようだ。
旦那がとにかくタッセルを外すためにキーを取り押さえようと頑張っているうち、キーは椅子の上から、ミサイルが発射されたような勢いで飛び出して行った。
それと同時に、かたーーん、という小さな音。
あ、これはもしや…と思った。
キーのあまりの異変にオロオロしていたマルちゃんをなだめ、椅子の周囲を探してみたところ、やっぱり、抜けた犬歯が落ちていた。
タッセルのヒモが「二枚刃」に引っかかっていたのだ。
外れないことでパニックになったキーが力任せに引っ張ったので、抜ける予定だった歯は、抜歯の要領で抜けた。
そして、そのおかげでヒモも外れ、キーは自由になった…という顛末だ。
歯の根もとにはしっかりと血がついていた。
昼間に確認した時には、まだ当分は抜けそうにない歯だったので、だいぶ痛い思いをしたはずだ。
傷口を確認し、パニックをおさめてやるためにリビングに探しに行ったところ、キーはサイドテーブルの下に横たわり、呆然としていた。
そっと抱き上げると、まるでぬいぐるみみたいだった。うつろな目には涙が浮かび、やや悲しそうな、ぼーっとした表情だ。
たぶん、あまりのショックに全身の力が抜けてしまっているんだろう。
将来的には抜けるはずだったとはいえ、まだまだ抜けそうにない歯を、自力で抜いてしまったのだから、それも納得だ。かなり驚いただろうし、相当に痛かっただろう。
その状態を利用して傷口を確認したが、乳歯は歯根も残さず、キレイに抜けていた。
血がかなり出ていたが、口腔内の傷なので、ヘタに触らない方がいいだろうと判断し、そのままにしておいた。
だっこして慰めてやっているうち、キーもだんだん、ショックが和らいだようで、そのうち、自分で傷口を舐め始めた。
目にも力が戻ってきたので、床に降ろしてやったところ、マルちゃんが早速、キーを宥めていた。
そんなわけで、わたしはキーやんの犬歯を手に入れた。
キーの傷はというと、翌日にはすっかりふさがり、残された永久歯が破竹の勢いで伸びていた。1日で3ミリほども伸びたのではないかと思う。
恐らく、「歯が抜けた」=「獲物が捕れなくて、飢え死にする」という危機感が、遺伝子レベルで伝わったのではないだろうか。
抜けた歯を補完するために、残された歯が数倍の速度で伸びた…というわけだ。
その「補完」の件が何だかとっても獣的で、こんなに可愛くてちっちゃいとはいえ、うちに居るのは獣なんだなあ、と、改めて思った事件だった。
キーやんの犬歯は、オキシドールで消毒している最中だ。
数日後に雑菌が取れた状態になったら、マルちゃんの奥歯と一緒に、保管する予定。
キーの犬歯は、何故か根本の方に段があり、ちょっと変わった形をしている。
仔猫の歯は結構な数を見たことがあるが、こんなのは初めて。

そして、何故かわたしは、キーの「悪魔顔」を撮るのが上手い(笑)
これ、甘えて鳴こうとしてる瞬間なんだよね。絶対にそうは見えないけど。
あれだけ痛い思いをしたのに、翌日にはまたタッセルにじゃれついていたキー。
おまえの経験値は、どこにストアされたんだ…。
何でもいいけどな、元気でいてくれれば(笑)
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